時の流れの羅針盤 日本時事評論
「日本時事評論」編集便り No.489      2025/12/19 
 岐阜市では、不登校の児童生徒を増やさないため、子供一人一人を大事にし、子供の自主性を尊重した独自の教育を行っているとの情報を聞き、10月には同市立藍川東中学校、11月には同市の水川教育長に取材に行きました。自主性を尊重した教育は言葉だけ聞くと「放任」と捉えがちになりますが、取材した藍川東中学校の先生方はとにかく子供を信じ、上手くいかない時は先生方で話し合って支援の仕方を工夫し、子供に信頼してもらえる存在になるよう努力していました。その結果、同校の生徒は落ち着て、かつ生き生きと学習に取り組んでいました。「自主性=放任」という思い込みの教育観の転換が必要だと強く反省した次第です。それでは紙面案内です。(田村)

1面 天録時評 「政策立案に統計学的思考が不可欠
         文・理関係なく大学入試で数学を必須に」

 少子高齢化や地方の過疎化が進む中、政府や自治体では効率的な行政運営が不可欠であり、政策立案者には、課題を明確にして必要なデータを集め、分析するという統計学で学ぶ数学的思考力が求められています。しかし、現在の大学入試制度では文系志望者に数学を必須としない場合が多く、結果として学生に数学的思考力が十分に育めていません。早い段階から文系と理系に分ける高校教育を見直し、文系学生にも微分積分や確率論を学び数学的思考力を求めるような入試制度の改革が必要です。

2.3面 天録時評 「空飛ぶ救命艇
        『US―2』と安全保障都市・岩国
        基地との共存を超えて、安全保障を学ぶ聖地に」

 山口県岩国市に配備される海上自衛隊の救難飛行艇US-2は、世界唯一の外洋救難飛行艇部隊として一千人以上の人命を救助してきました。高コストゆえに継続も危ぶまれましたが、国際的にも代替のない技術資産であり、国際的な「救難インフラ」と位置付ければ外交資源としての活路も開けてきます。また、岩国市にはかねてから「飛行艇ミュージアム(仮称)」の整備構想がありますが、国際情勢が厳しい中、「基地と共存する街」の枠を超えて、「国の安全を学び、未来を切り拓く聖地」として政府挙げて整備していくことが重要です。

4.5面 レポート「岐阜市の『誰一人取り残さない教育』
        子供の小さなSOSを可視化し拾う『ここタン』
       『草潤メソッド』で行きたくなる学校づくり」に」

 わが国では全国的に不登校児童生徒が過去最多になっています。こうした中、岐阜市では「誰一人取り残さない教育」の実現を目指した学校運営の推進で、不登校児童生徒の増加の抑制に成功しています。そこで、岐阜市が取り組んだ、子供の心の変化を可視化して児童生徒の心のケアに活かす教育アプリ「ここタン」の導入や、「草潤メソッド」と呼ばれる不登校を経験した生徒が通う草潤中学校での取り組みを基にした「校内フリースペース」の設置について、岐阜市教育委員会教育長の水川和彦氏に聞きました。

7面 天録時評 「中国の文化的制裁に冷静な対応を
         政府は毅然とした対応を豪州から学べ」

 高市首相の「台湾有事」を巡る「存立危機事態になりうるケース」という発言を受け、中国はわが国に対し経済的、文化的圧力を行っています。こうした中国の外交的圧力に屈せず、冷静に状況を見極め、長期的な視点で日中関係を捉えることが重要です。

3面 巷  露 「働けることの有難さ」
6面 小児科医の視点⑩
        「家庭でのスマホ利用」
7面 役立つ最新用語96
        「いじめの重大化を防ぐ
        『留意事項集』を文科省が公表」
8面 日本の肖像142 白洲次郎(下)
        「戦中戦後、いかなる国難に出遭っても
         揺るぎなき原則を貫き通した男」
         歴史家 鈴木旭

〈本文の全文(PDF)は12月26日に掲載予定です。〉
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